禁煙のはじまり~なぜやめることに~

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ナイスミドルが経営するBARのカウンター


バーボンを片手に俺はタバコの煙を見つめている。
スーツの裾から見える高級時計にが示す時間に縛られながら、ひと時の一人を楽しんでいる。


「なぁマスター、煙ってやつはどうやって自由を手に入れたんだろうな」


「お客様、今日はずいぶんと詩人でいらっしゃいますね。バーボンの氷も、お客様にうっとりして溶け始めたようですよ」


と、こんな具合だ!


タバコってなんだかカッコいいよ!
子供頃の俺は、タバコにこんなイメージを抱いていた。


実際にタバコを吸い始めて18年後、ダイエットコーラを飲みつつ、家でゴロゴロしながらタバコを吸うおっさんになっていた。


酒は飲めないし、詩人のようなセリフも吐けない。
そんなタバコ好きなおっさんになっていたわけだ。


18年。

誰よりもヘビースモーカーで体重もヘビー級。
ダブルヘビーな俺がタバコを止めるなんて、周りの誰もが想像だにしないことだった。


しかし、8年前に俺はきっぱり禁煙をしたのだ。


今日はその”禁煙”について書いてみようじゃないの。

ね!

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タバコ生活


まず、俺とタバコについて簡単に話しておこう。


初めて口にしたのは〇〇歳のとき。
クラスメートのヤンキーの家に遊びにいったとき、そのヤンキーより更にヤンキー上乗せ全部乗せのお兄さんに勧められたのが”俺のはじめて”だった。


確か赤い箱のLARKだった。


煙を肺に入れた瞬間、ものすごい衝撃が体中に走り、咳込んでしまった。


そのときは、「こんなもん何で吸ってんだ???大人とヤンキーはアホなんだな」と、自分はタバコなんてものは吸わないものだと思ったのだが・・・数日後、なぜか「タバコを吸いたい」という欲求が芽生え始めたのだ。


ニコチンの中毒性は天下一品というが、俺もたった一回、一口でニコチンの魔力にやられてしまっていたのだ・・・・


それから18年間、俺はタバコを吸い続けた。


食後はもちろん、髪を乾かすときも電車を待つときでも(当時はまだホームで吸えたからね)俺はいつもタバコ中心で生活していた。


しかし、このタバコが体によろしくないことは理解していたので、何度となく”禁煙”を意識をしたことはある。


30代前半、結婚生活をおくっているときに同じくタバコが好きだった元嫁と一緒に禁煙に挑戦したこともあるが、禁煙初日から二人ともイライラして喧嘩が多発。


三日ほどで「我慢は体によくないよね!」という結論で、禁煙を断念したのであった。
今思えば、あの発想はニコチンに支配されている脳の発想なのだと分かるが、そのときはそれが正しい!と思い込んでいたのでいたんだな。


それからしばらく、俺はまたタバコを吸ったり離婚したり・・・転職したりと、いつもの生活をしていたんだ。


きっかけの日


そのいつもの生活の1コマ、ある土日に俺は2日で6箱も吸うというヘビー中のヘビースモーキングをやらかした。
それまで、たくさん吸っても1日2箱だったのに2日で6箱。
つまり1日3箱も吸ったわけだ。


さすがにこの量に体は耐えきれなくなり、日曜の夜にとてつもなく気持ち悪くなったのだ。
吐き気、めまい、頭痛。


もう気持ち悪くて気持ち悪くて・・・
倒れるようにベッドに横になり、「明日も気持ち悪かったらタバコ止めよう」と心に誓って意識を失った。


翌朝、まだ吐き気と得体のしれぬ気持ち悪さが残っていたんだ。
揺れる船のうえで、安い酒を飲んだようなふらつきと吐き気。


うぅ・・・気持ち悪い・・・


このとき、今までモヤモヤしていた決心と呼べない決心がガッチリ固まり、完全な決心へ成長した。


やめよう!


もう、タバコが恋人だの何だのと言ってないでキッパリやめよう!
悪い女と別れるがごとく、タバコはやめよう!(悪い女と付き合ったことないけど)


こんなにも俺を気持ち悪くさせるタバコなんて・・・タバコなんてキライだ!
大っキライ!


俺はタバコをキライになり、そのキライを原動力にして今度こそ禁煙すると心に誓ったのだ。


そして、その瞬間からソコソコ辛く厳しい禁煙生活が始まった。


予想していたより辛かったが、あの気持ち悪さを二度と経験したくない一心で、色々な方法を試しながら禁煙を続けたのであった。





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