禁煙を決意した初日。
決意が揺らぐニコチン中毒満載の私がまずやったことは、「禁煙のメリットを探す」ことだった。
ただ「やめる」と意気込んだところで達成するのは難しい。
せめて「具体的にどう健康になる」とか「抜け毛の心配がなくなる」というようなバラ色の人生を思い描ければ頑張れるかもしれない。
うむ。我ながら素晴らしい作戦である。
さて、タバコでも吸いながら調べるか・・・
いかんいかん!
禁煙するんだってば!
俺は無意識にタバコを求める体をコントロールしきれないので、部屋に残ったタバコと吸い殻、灰皿やライターを全て捨ててから「禁煙のメリット」について調べ始めた。
ちょこちょこと調べただけで、「禁煙するとこんなに素晴らしいことが!」というのがいくつも出てきた。
その中でも納得できそうなものをいくつか選び、私はそれを紙に書いて部屋に貼ることしたのであった。
①息切れしなくなる。
②タバコ代が浮く(年間15万ほど)
③喫煙所を探さなくてよくなる。
④イライラしづらくなる。
⑤がんなどの重大な疾患発症のリスクを減らせる
うーむ・・・書いてみたものの、イマイチ弱いんだよなぁ。
18年間も吸い続け、立派なニコチン中毒に育ったおっさんが、今さらタバコ代が~とか息切れ~なんてエサを掲げても、そっちに向かって歩けないんだよ!
もっと、「禁煙によりタバコ代が浮いて、お金を敷き詰めた風呂に入ってウッハウハ!」
とか、「血色がよくなって福山雅治みないな顔になり、モテモテでウッハウハ!」
みたいなさ・・・そういうメリットないのかしらね。
息切れしなくなるってなんだよ。
弱い弱い!弱いわ!
こんな紙!ひっぺがしてやる!
ひっぺがして火をつけて、その火でタバコを・・・
私はここで我に返った。
そして、どうにかしてタバコを吸おうとする自分が少しだけ怖くなった。
冗談めいてニコチン中毒なんて書いているが、自分をコントロールできないほどニコチンに支配されていることが怖くなったのである。
今思えば、このニコチン中毒者という自覚が禁煙の第一歩だったのかもしれないね!
我に返ったところで、改めてなぜ禁煙するかについて考えてみた。
【健康のため】
これは吸いながらもいつも考えていた。
肺がんや脳梗塞、高血圧など、数え上げればきりがないほどタバコは体に害を与える(らしい)
それほど長生きしたいとは思わないが、苦しみながら死んでいくのは辛い。
そんなリスクはできるだけ減らしておきたいから、「禁煙するべきだ」
何より、吸いすぎて気持ち悪くなったから禁煙することにしたわけで、こんなもんが体に悪くないわけがない。
・・・
以上!
あれ?あれれ?
意外と禁煙の理由が思い浮かばんな。
無理やりしぼれば、火の元の心配とか部屋の臭いを消したいとか色々あるけど、それほど強い禁煙動機でもないんだよな。
果たして禁煙なんてできるのだろうか。
大した対価もないのに、大好きなタバコを止めるなんて何かいいことあるのか!?
はっきり言って初日から決意はゆらぎまくり、じたばたしながら何とか1日を終えたのであった。
明日はきっと無理だな・・・吸っちゃうだろ。
そう思ったのを覚えている。