「ぷよまるさんのお電話でよろしかったでしょうか?」
・・・今、今まさに質問しているのに、なんで「よろしかったでしょうか」って過去形を使うんだよ。
この言い方、キライなんだよなぁ。
ここ数か月、俺の電話にやたらと”不動産投資”の営業電話がかかってくるようになった。
9割くらいの割合で「よろしかったでしょうか」と聞かれるので、その瞬間に不動産投資営業だと分かるのだ。
だがしかし、電話番号表示の時点では「不動産投資営業」なのか「仕事上のお客様」なのか、「私に恋の告白をしたいキューティーハニーが私の知り合いから電話番号を聞いて、勇気を出して電話をかけてきている」のか分からないので電話に出てしまうわけだ。
「ぷよまるさんのお電話でよろしかったでしょうか?」
来る日も来る日も不動産投資の営業電話がかかってくる。
その度に断っているのだが、毎日毎日、別の会社が電話をかけてくるのである。
いい加減鬱陶しくなってきて、更に怒りもこぼれそうなほど溜まってきた俺は、この不動産投資勧誘業者に色々質問してみることにした。
あ、余談だけど、「よろしかったでしょうか」って、北海道の一部で使われている(使われていた?)方言らしいよ。
「よろしいですか」を丁寧に表現するために、過去形を使うようになった・・・と、何かで見たんだけど、英語でも丁寧な表現をしたいときに過去形を使うからね。
「Can I ~」より「Could I ~」が丁寧なのは、時間列を過去にすることによって相手との距離を置いて・・・
あ、いや、余談が長くなりそうだからいいや!
ま、「よろしかったでしょうか?」も、場合によってはOKってことね!俺はキライだけど。
なぜ、俺の名を知っている!?
まず、なぜ俺の名前を知っているのかを、たまたま電話してきた不動産投資営業に聞いてみたところ、「名簿を買っている」と教えてくれた。
え!?そういうのアッサリ教えてくれんの!?と、質問しておきながら驚いた次第だが、名簿を買って営業をかけること自体は、グレーであっても違法行為ではないので問題ないのであろう。
更に聞くと、「過去に通販で高額な商品を買った方」という種類の名簿だということだった。
更に更に、名簿を売った会社名が「合同会社トラ〇〇ト」という社名だということまで教えてくれた。
いやいや、ご丁寧に色々教えていただいて・・・
不動産投資営業との電話を切り、早速、そのトラ〇〇トという社名を調べ、クレームを入れるべく電話をかけてみたが・・・繋がらずモヤモヤだけが残った。
翌日以降も、1日1件から2件くらいの頻度で電話がかかってくる。
「よろしかったでしょうか?」
「よろしかったでしょうか?」
あぁっ!!!もうなんで毎日電話がかかってくんだよ!
どんだけ俺の名簿が出回ってんだ!
大体、そんな高価なもん通販で買ったことなんてないぞ!
せいぜいヘルメットや掃除機、ビタミンEのサプリやビタミンBのサプリメント、さらにビタミンCのサプリメントくらいしか買ってねぇっつうの!
あ、あとカルシウムのサプリ・・・
と、不動産投資会社が目を向けるような高額な買い物なんてしていないのに、一体どんな名簿が流れているというのだ!
そして、この迷惑な営業電話を撲滅する方法はないのか!?
撃退法を不動産投資営業に聞いてみた
ある日、またいつものように不動産投資営業の電話がかかってきた。
しかし、この日はいつもと違い、電話をかけてきた会社のオペレーターの喋り方がとても綺麗でしっかりしていたので、不動産投資営業の電話を止める方法がないか聞いてみた。
①名簿を売った会社に対し、名簿削除の交渉をしたいので連絡先を教えてほしい。
②そもそも、①をやるのも面倒なので、不動産投資の営業電話がかかってこないようにするために何かいい方法を知らないか。
③仕事、辛くない?
③は完全な興味本位だが、とにかく②について知りたい旨を伝えて質問を投げかけた。
電話口の相手はかなり戸惑った様子だったが、それでもこちらが不快にならないような受け答えをしてくれた。
恐らく、今までも電話オペレーターの経験がある人なんだろう。
結構な高レベルの受け答えをしてくれるが、こんな質問をされたのは初めてなようで、適切な回答ができないので上司に代わるということになった。
数秒後、上司を名乗る男性が電話口に。
私は再度、①~③の質問をしてみた。
あくまで、御社に文句を言いたいのでは無く、困っているので助けて欲しいというニュアンスを添えての質問である。
回答
代わって電話口に出た上司は、これまた丁寧に質問に答えてくれた。
①名簿を売った会社に対し、名簿削除の交渉をしたいので連絡先を教えてほしい。
⇒お教えすることはできます。
だがしかし、それはおそらく解決には繋がらないだろうということを続けて教えてくれた。
名簿売買の流れは、まず1万人分の名簿を所有するAという者がいるとする(この時点で、名簿入手が合法か違法かはわからない)
で、このAという者がB社・C社・D社に名簿を売る。
B社・C社・D社は、Aから買った名簿に加え、他のEという者からも名簿を買い、これを1つにまとめてF社・G社・H社に売る。
F社・G社・H社は、購入した名簿にIという者から買った名簿も加えてJ社・K社・L社・M社に売る。
Aは、最初にB社・C社・D社に売った名簿に、新たに手に入れた名簿を加えてO社・P社・Q社に売る・・・
という具合に、書いていて自分でもよく分からなくなるくらい、1度売られることになった名簿は複数の経路でアチコチに出回ってしまうのだそうな。
こんな状態なので、仮にこの不動産営業会社が名簿を買ったQ社をつきとめて名簿削除を依頼したところで、他の会社に出回っている名簿に名前がある以上は意味がないというのだ。
1匹見たら5匹はいる!みたいなもんか!
この話を聞いて、なんとなく納得して脱力した。
②そもそも、①をやるのも面倒なので、不動産投資の営業電話がかかってこないようにするために何かいい方法を知らないか。
⇒営業電話を無くす方法はありません。
ないのかよ!
もちろん、電話をかけてきた会社に対し、不要だという意志を伝えるとその会社からはもう電話はかかってこない。
しかし、いくつあるか推測することすらできない不動産会社の営業を全てシャットダウンする方法はないのだ。
何故ならば、先に書いた通り複雑な経路で名簿が出回っているからだ。
あ・・・そう・・・
「じゃぁ、電話番号変えるしか解決の方法はないんですね」と、諦めた口調で伝えたところ、上司は「実はそうなんです。しかし、そんなことを私共が提案するのもおかしな話なので・・・」と、恐縮した感じで言葉を濁した。
解決策ないんだな・・・ここで、諦めの境地にたどり着いた。
③仕事、辛くない?
⇒辛い時もあります。
嘘か誠かわからんが、俺のように「こんな電話がかかってこないようにしたい」と言われるのが一番辛くて大変なのだそうな。
解決できないから。
「いらねぇよ!」と言われて電話を切られるほうが遥かに楽なのだとか。
こっちからしてみたら、そんなもん知ったことか!という話だが、まぁ辛いんだろうな。
名簿を買って営業電話をかけるところまでが合法である限り、何とも言いようがないですな。
鬱陶しいけど、向こうは仕事でやってんだから。
最後に質問
俺は数々の鬱陶しい営業電話に対し、偽名を使って対応しているのだが、このやり方はどうかと聞いてみた。
すると、「それはいい方法ですよ!」と、上司は急に元気いっぱいで話はじめたのだ。
名簿の情報が誤っている場合、それを転売する会社は無効情報として削除して売る場合が多く、また販売元に対しても無効だと通知を・・・とか何とか、さっきまでの恐縮した雰囲気はどこへやら。
喋る喋る!
聞くのが面倒くさいくらいよく喋るのだ!この上司が!
アンタにこの仕事向いてるよ・・・と心の中で思い、「わかったわかった!もういいわ!」と言って電話を切った。
あまり収穫のないやり取りだったが、偽名作戦はただ断るより有効なのかもしれないな。
あの上司があれだけ熱く語るのだから。
よし!次から迷惑営業電話には偽名使おう!
この微かな妙案が、後に少々面倒な事態を招くのであった。